目 次
中島歌子とその時代 1 今井恵子
七つの機会詩 大上真一
嵐の海に君逝きましゝ――井上義雄中佐・輝子夫妻略伝 横大路俊久
本誌発刊は、大上君とのとりとめのない話から構想が始まった。今井さんにも相談したところ喜んで参加するとの返事をいただいた。もうずいぶん昔のことになるが私たちは武蔵野の成蹊学園の同窓生である。卒業後はそれぞれの道を歩んでいて、ここにまた集まることとなった。
まずは誌名を決めないと勢いがつかないのではないかという話になり、なんとなく『天霧』としたが、のちに人麻呂の「足引之山河之瀬之響苗尓弓月高雲立渡(万葉集一〇八八)」のイメージもあったと大上君は言う。先の大戦中にジョン・F・ケネディ海軍中尉の魚雷艇pT109をソロモン海域で踏み潰した駆逐艦「天霧」とは無論何の関係もない。
今井さんは歌人である。数々の歌集、歌論集があり最新歌集『運ぶ眼、運ばれる眼(現代短歌者)』で佐藤佐太郎賞を受賞した。本号から中島歌子論が始まる。
大上君はもと詩を書いていたが出版社、財団法人勤務の傍ら写真展を何度か開催し、また『映像試論』誌などに写真論も発表してきた。今号には久々に詩を寄せてくれた。
私は小説を試みたこともあったが、出版社勤務の間はそれもかなわず、また近年は考証の豊かさについて思うことがあり、今号では史伝風のものに親族に登場してもらった。
それぞれつながりがないようにも見えるが、刊行の辞にも書いたようにおのおの「声を聞く」姿勢に近いものがあるようにも考えている。
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同人:
今井恵子
横大路俊久
大上真一
*創刊号正誤:62ページ3行目 ×遠山満 〇頭山満